WUFI Pro6.2Verが6月7日(木曜日)付の日刊木材新聞で紹介されました。

非定常シミュレーション「WUFI」
壁体内の湿気性状を評価

ドイツの研究機関であるフランホーファー建築物理研究所が開発した建築部位における熱・湿気同時移動の非定常シミュレーション「WUFI Pro」が日本市場に対応する形で大幅改善された。各種建材名が日本語表示となったほか、新たに日本で一般的な18㎜空気層が建材データに収録された。また、計算結果を比較するのに便利な「WUFI Graph」も日本語で使うことができるようになった。

WUFIは、建築物における建材中の湿気の乾燥時間、結露の危険性、降雨時の吸水、構造体の中の温度と湿気分布、長時間の変化や改修時の影響などを、膨大な建材データ、気候データにより非定常シミュレーションするプログラムだ。同研究所では収録するすべての建材について、建材メーカーが公表するデータ及び同研究所の試験を基に、密度、空隙率、熱伝導率、透湿抵抗を記載している。

従来、建築物内の湿気の害では、冬型結露が重視され、定常計算(Glaser計算法)で判断されてきた。しかし、定常計算では雨水、夏型結露、日射、建材内の毛細管輸送(液体の移動)が考慮されない。同研究所では実際の気象条件の下での建物部位の非定常の熱・湿気性状を評価するため、WUFIを開発した。

現在、構造体の熱・湿気シミュレーションは、欧州の「EN15026建築部位及び建材の熱と湿気の挙動 ― 数値シミュレーションによる湿気性状の評価」、米国の「WTAガイダンス6-2-01熱と湿気の経時変化」で規格化され、WUFIのような近代的な計算を行う必要があると示している。

同研究所は、欧州の外断熱協会EAE、米国の湿式外断熱産業協会EIMA、日本外断熱協会JAEI(堀内正純理事長)などと提携。また、米国のオークリッジ国立研究所、ノルウェー科学技術研究所、ウィーン工科大学、スウェーデンのルンド大学など多くの研究機関や大学とも連携している。

今回のWUFI改良では、主に日本市場での対応力向上を目的し、建材名の日本語表示、日本で一般的な縦胴縁による空気層18㎜厚での建材データ収録などを行った。日本の気象データは842都市のアメダスを同研究所がWUFIで計算できるように加工してデータ化している。

日本外断熱協会の堀内理事長は「日本では空隙率も盛り込んだ非定常シミュレーションプログラムがない。建築物内の断熱プラス湿気を、3~5年の長期で経時変化推定し、事前に最適建築材料を選択することは重要」と語る。

同プログラムの問い合わせは、日本販売代理店であるイーアイ(電話03・6809・1970)まで。